2017年11月20日月曜日

オデオン座国際プロジェクト2017    H29.11.19

脇町にあるオデオン座
 
今年もオデオン座で「オデオン座国際プロジェクト」が行われた。9時過ぎに美波町を出発し、11時40分に到着。県南から美馬市は遠い。受付を手伝いながら、つるぎ町から来た西岡さんとスタートアップ事業のことをいろいろ話していたら、すぐに開会の13時になった。
 
 


副市長のあいさつ

開会のあいさつの後、まずは、来日1ヶ月の留学生の皆さんによる「脇町のうだつの街並みの魅力」の発表。昨日、町歩きをして、一番気に入った場所やものの写真を選び、日本語で紹介をした。次は、いよいよ劇本番。

 劇1
 
 劇2
 
 劇3
 
今年の劇も「虔十公園林」。宮沢賢治原作、仙石先生の脚本である。ナレーターに留学生が入るなど、留学生が頑張っている。来日したばかりの学生たちは、公園の木の役である。セリフはほとんどないが、ステージに出ずっぱりで動けないから大変。去年の主役、準主役の二人が子ども役で一瞬登場。「先生、3秒出るよ」と言ってたけれど、3秒はなかったかも。左から右に鬼ごっこで走り抜けた。宮沢賢治のことばは、現代語に比べると留学生には難しいかもしれない。しかし、そのことばをそのまま伝えることで、観客に宮沢賢治の思いが伝わってくる。「ああまったく誰が賢く誰が賢くないかはわからない」というくだりで、私は今年も心を動かされた。今年は、練習期間が短かったらしいが、外国人も日本人も心一つに出演者それぞれが自分の役を熱演していた。
 
劇の後は、脇町高校の生徒さんの英語によるプレゼンが3本。その後、交流タイム。集合ゲームをしたり、留学生による○×クイズをしたり、自由におしゃべりしたりした。最後に、みんなで記念撮影。
 
 高校生の英語による発表
 
 

 トークタイム
 
 まずは、劇の出演者で
 
 全員で
 
演劇的知」ということばがある。今回のオデオン座での演劇から日本語を学んでいる留学生が得られる学びは大きいはずだ。日本人の役をして、役にふさわしい日本語のセリフの言い方を覚え、自分のものにして緊張しながらステージに立つ。日本語を使って演劇という表現活動をすることは、必ずこれからの日本語のコミュニケーションに役立つだろう。
最近「多文化共生のまちづくり」の講座で薦められた「新しい広場をつくる」(平田オリザ)という本を読んだ。地域からこのオデオン座プロジェクトのような参加型の文化イベントを起こしていくことが「新しい広場をつくる」ことではないのかと思う。地域発信の文化活動(演劇に限らず、音楽、スポーツ、 美術等々)が、人と人とのつながりを広げ、多文化共生の町づくり、国づくりにもつながるのではないだろうか。 
 
 
仙石先生、三隅先生、お疲れ様でした!
 
  
 
 


 

2017年11月18日土曜日

日本語教育研修会 at 鳴門教育大学   H29.11.18

看板

帰国・外国人児童生徒”いきいき”事業による「帰国・外国人児童生徒支援のための日本語教育研修会」が鳴門教育大学の地域連携センターで開催された。昨年度に続いて、2回目の参加である。

はじめに、”いきいき”事業の取組について、県教委より説明があった。29年度の支援児童生徒数は、小学校(54)中学校(13)高校(5)の合計72名で、5年前の37名に比べると、約2倍になっている。学校からの要請による日本語講師・通訳講師は、11月現在で27名ということだった。これからますます増えていくと予想される。続けて、”いきいき”事業による参考書籍・教材についての紹介があった。会の性格上当たり前であるが、会場に並べてある参考図書のほとんどは生活する外国人(大人)向けではなく、学校に通う外国籍にルーツを持つ児童生徒を対象としたものだった。それでも使えそうなものも見つけて、タイトルと発行所をメモしてきた。

次が、メインの講演「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLAについて」。講師は広島大学の渡部倫子先生で、和服をおしゃれに着こなしていた。DLAについては、「JSLの評価のための方法の1つ」と試験前に覚えたが、詳しい内容については知らなかった。実際に対話型で検査をしている画像を見せてくれたのでよく分かった。発達障害の児童に対するWISCの検査に似ているなと思った。特別な支援が必要であるという点では、似たところもあるかも。今は、DLAを使うことはないが、将来的には必要なときもあるかもしれない。今回は、具体的な話が聞けてありがたかった。
 

最後に、6つのグループに分かれて、情報の共有・意見交換があった。Eグループには、小学校の先生、留学生、県教委、高校の先生、大学の日本語の先生がいた。それぞれ外国人の児童生徒学生との関わりで生かせる何かのヒントを求めて来ているのだと思う。情報の共有、日本語講師の横のつながりの大切さを話された人もいた。TOPIAが作ろうとしている日本語教育関係の組織・団体の連携協議会は、その一助となるかもしれない。

帰りながら「しまった!」と気づいた。確か昨年この会で美波町の取組始めたスタートアップ事業について話させてもらったのに、今日経過報告をしたらよかったと。終わってからではどうしようもないので、来年も参加して、是非3年間の事業の成果を語りたいなと思う。1年ぶりの鳴門教育大学。今年は、まだ紅葉が残っていた。

 
 キャンパスの黄葉 鈴懸の木?









2017年11月9日木曜日

地域日本語スタートアップ事業 情報交換会  H29.11.7

 



板書
平成29年度の地域日本語教育スタートアッププログラムの上半期の情報交換会が東京竹芝で開催された。美波町を含む28年度からの5団体に加えて、つるぎ町を含む29年度からの7団体、総勢12団体が寄っての情報交換の場となった。
 
  最初に各団体からそれぞれの取組の進捗状況の発表があり、美波町からは、総務企画課の川西さんが報告を行った。各団体の報告を聞きながら思うことは、美波町で同じことを行ったらどうだろうということ。参考になることは少なくなかった。たとえば、鳥栖市(学校の保護者で困っている人の掘り起こし、こくさいカフェ)、熊本市(サポーター養成講座)、宮古市(国際交流協会設立)、中能登町(お菓子の持ち寄りで休憩)、基山町(事業について全庁内で共有、町内の日本人や企業への多文化共生についての実態調査)等々。美波町のこれからに生かしたい。外国人が急激に増えている鳥栖市、熊本市、福知山市の話も興味深かった。これからは、多かれ少なかれ全国津々浦々で起こることだと思う。
 
 休憩後は、コーディネーターと自治体関係者に分かれての情報交換会になった。「言語教育可視化テンプレート」「PDCAによる指導力評価表」「生活者としての外国人のための日本語教育ハンドブック」の説明で時間の大半が過ぎてしまい、実際の具体的なコーディネーター間の情報交換が余りできなかったのは残念だった。会が終わってから、懇親会までの間に熊本市の村上さんといっぱい話せたのはよかった。アドバイザーの松岡先生ともいろいろ話ができたからありがたかった。会が違っていた近藤アドバイザーとほとんど話せなかったのが心残りである。美波町は、他団体に見習ってもっとアドバイザーを活用すべきだと反省。遠いからというのは理由にしてはいけない。
 
会議中
  
 
  今月は、人権フェスへの異文化交流コーナーの出展、12月には防災ワークショップ、これから計画的に準備しながら、海部郡内の実態調査も始めないといけない。9月から始まった「美波日本語教室」は当初N3の勉強をしたいベトナム2人だったが、今、アメリカ1,モンゴル1と増えてきて、ニーズが異なるため、内容について検討し直す必要が出てきている。将来を見越して、冬期からは1回完結型のプログラムへの移行を考えるべきかもしれない。
   家に帰って、さっそくPDCAの評価表をやってみた。CとAの段階に入ると、△が俄然多くなる。まだまだ途上であるから当たり前かもしれないが、次は来年3月にやってみようと思う。 
 

2017年11月4日土曜日

多文化共生と国際化講座  H29.11.2

研修参加者と留学生で

徳島県自治研修センター主催で、徳島大学国際センターの5階にあるフューチャーセンターを会場に「多文化共生と国際化講座」が開催された。2度目の参加。ファシリテーターは、三隅先生。去年は研修者の一人として参加であったが、今年は美波町の取組の報告と研修の進行のサポート、ついでに研修もさせてもらうことに。7時間に渡る盛りだくさんな講座であるが、参加型であるので時間があっという間にたち、面白くて気づきがあった。今年は、女性の参加者が8割 を超え、男性が多かった去年とは初めから雰囲気が違っていた。
 
セッション1
アンドレアス講師から「ドイツから見た日本、日本から見たドイツ」という講義。相手が違えば、話も変わり、昨日の多文化共生講座での話とはまた違う話も多かった。両方に参加したから分かるのであるが、同じ質問をしても反応が違う。国籍が同じ日本人でも多文化なんだと分かる。ここでも、難民問題が話題に上がった。注視していくべき問題だし、遠い日本でも他人事ではない時代が来ている。
 
セッション2
徳島の国際化を目指して」日本語上級クラスの留学生との1対1での交流。自己紹介をした後、徳島のお勧めの観光地を紹介する。まずは、近いところの阿波踊り会館&眉山、行ったことがある人には、鳴門や私の町日和佐を勧めた。日和佐の祭りに参加してくれた中国やベトナムの学生さんとまた話せて嬉しかった。

セッション3 「ドイツの食文化体験」

 ドイツのハムとパン
 
今年も石井町の「自然派ハム工房リーベフラウ」から店長さんの近藤さんが来てくれていた。ドイツで修行して身につけた技術で作ったこだわりの無添加ハムやソーセージ、そしてパンが並ぶ。9月にお店のバーべキューコーナーを利用させてもらって、店の場所を知ったばかりで、もう少し近ければたびたび買いに行けるのにと思っていたところ。切り分けてくれたハムのステーキはまだ少し温かくておいしかった。生ハムもいけるし、昨年度より種類が多くバージョンアップしていた。ドイツでは、朝と夜は冷たい料理で昼は温かい物を食べることが多いのだとか。自分は3食だいたい温かいものをとっているので、食文化の違いを感じた。これにビールがあれば・・・と思った人は、私だけではないだろう。
 
 
セッション4
 「日本語初級の留学生との交流」 自己紹介の後、留学生からお国の紹介をしてもらう。日本人二人に留学生一人で。10人の留学生と5分交代で次々に話し、感想を寄せ書き用紙に記すという繰り返し。日本に来たばかりの留学生の、これから!という意欲が伝わってきて、応援したいと思った。
 
3人で話す

寄せ書きをもって
 
セッション5
「多文化共生とこれから」 三隅先生からの説明のあと、私の出番。美波町での「生活者としての外国人のための日本語教育事業~地域日本語教育スタートアッププログラム~」への取組について話をさせてもらった。パワーポイントは、今度東京での情報交換用に作成した5枚バージョンを使った。つるぎ町のことにも触れ、徳島の田舎でもこのような外国人向けの施策が行われていることを知ってもらえてよかったと思う。
 
取組の報告
 
 
セッション6
「国際化・ソシオドラマの作成」 昨年度は、グループの中に入って一緒に劇を作ったのだが、今年はサポートで見守る側だったので、ちょっと残念。初めて会った人と話し合いながら自分達の創作劇(スキット)を作る作業は、わくわく感ドキドキ感があって面白いことを昨年体験しているので。果たして、4つのグループはそれぞれに50分ほどで「ユニクロにて」「水餃子の奇跡」「未来のアプリ」「共学習者の紹介所」(後の二つは題名が不確か)という短い劇を作り上演した。異文化間の問題があっても、現実にこうなればいいなあという望ましい未来が描かれていて、なんだかほっこりした。演技の達者な人も多く、見ていて楽しかった。
 
最後に、参加者一人一人が一言感想を言い、全員で記念写真を撮り、研修全体の振り返りアンケートを記入して、研修は終わった。研修参加者の皆様、お疲れ様でした。